ポジティブリスト適合証明書とは?
- ポジティブリスト制度の概要と目的
- ポジティブリスト制度とは、安全性が確認された物質だけを使用可能とする仕組みで、食品衛生法に基づいて導入されました。この制度の目的は、食品用器具や容器包装に使用される材料の安全性を確保し、消費者の健康と安全を守ることにあります。従来のネガティブリスト制度では、特定の禁止物質をリスト化することで管理していましたが、ポジティブリスト制度はその方法を逆転させ、明示された安全な物質のみの使用を許可しています。
ポジティブリスト制度は、2020年6月1日に食品衛生法の改正に伴い施行され、2025年6月1日より完全施行となります。これにより、リストに記載されていない物質の使用は基本的に禁止されるため、事業者は事前に十分な確認と対応が求められています。 - 証明書が求められる背景
- ポジティブリスト制度が導入される背景として、食品業界における安全管理の強化と消費者の健康を守る必要性が挙げられます。食品用器具や容器包装は食品と直接接触するため、安全性が重視されるのは当然のことです。不適切な物質が使用された場合、食品を通じて消費者に健康被害をもたらす可能性があります。そのため、使用される物質がポジティブリストに適合しているかを第三者に示す「ポジティブリスト適合証明書」が重要視されています。
この証明書は、事業者が安全性を確保した製品であることを証明するとともに、規制当局や顧客に対する信頼性の向上にも寄与します。 - ポジティブリスト適合証明書の基本構造
- ポジティブリスト適合証明書は、対象製品がポジティブリスト制度に適合していることを証明する公式な書類です。通常、この証明書には以下の情報が含まれます。
- ・対象製品名および型番
- ・使用されている物質のリスト
- ・物質の安全性に関する試験データや分析結果
- ・リスト適合を確認した日時や認証機関の署名・印
食品衛生法とポジティブリストの関係
- 改正食品衛生法のポイント
- 食品衛生法は食品の安全性を確保し、消費者の健康を守ることを目的としています。平成30年(2018年)に公布された「食品衛生法等の一部を改正する法律」では、食品用器具・容器包装に関する新たな規制としてポジティブリスト制度が導入され、令和2年(2020年)6月1日から施行されました。この改正の大きなポイントは、安全性が評価された物質のみ使用を許可する仕組みを明確化することであり、食の安全管理をさらに強化することにあります。
- ポジティブリスト制度との接点
- ポジティブリスト制度は、従来のネガティブリスト制度に代わる新しい規制体制です。ネガティブリストでは禁止される物質だけが規定されていましたが、ポジティブリスト制度では使用が許可された物質を明確にリスト化し、それ以外は使用を禁止する仕組みとなっています。この変更により、食品安全のリスク管理がより徹底されることとなり、食品衛生法の目的である安全性確保の達成に大きく寄与しています。特に2025年6月1日以降、ポジティブリスト適合証明書が全ての対象物において必須となるため、事業者にはその取得と管理が求められます。
- 器具・容器包装の規制対象と適合証明書
- ポジティブリスト制度の適用対象には、器具や容器、包装といった食品に直接触れる可能性のあるすべての製品が含まれます。具体的には、食器類、食品を直接包む包材、食品の製造・運搬工程で使用される機材などが規制対象となります。これらの器具・容器包装がポジティブリストに適合しているかどうかを証明するために、事業者はポジティブリスト適合証明書を取得し、適切な管理を行う必要があります。消費者の安全を守ると同時に、製品の信頼性を向上させるため、事業者におけるこの対応は極めて重要です。
- 主な対象商品
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- ●ポジティブリストの対象となる材質
- ①合成樹脂製の器具・容器包装
例)食品用器具…コップ、茶わん、はし、スプーン、包丁、まな板、箱、袋、包装紙、製造機械類、運搬具など
※農業及び水産業における食品の採取の用に供される機械、器具その他の物はこれを含まない。 - ②合成樹脂以外の材質の器具・容器包装の場合
合成樹脂以外の材質の器具・容器包装において、食品接触面に合成樹脂製のシートが貼られている(牛乳パック等)場合やコーティングが塗布されている(飲料缶等)場合はその合成樹脂。 - ●ポジティブリストの対象とならない物質
- 熱可塑性を持たない弾性体であるゴムは含まれません。また、金属などの無機物や紙、木製など、天然物由来の器具や容器包装も対象となりません。
例)使い捨て手袋の内、「ラテックス手袋」や「ニトリル手袋」は対象外ですが、「ポリエチレン手袋」は対象商品になります。
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ポジティブリスト適合証明書の重要性
- 食品業界におけるリスク管理の強化
ポジティブリスト適合証明書は、食品業界におけるリスク管理を強化するうえで重要な役割を果たしています。食品用器具や容器包装に使用される材料が「安全」とみなされるためには、ポジティブリスト制度に規定されている基準を満たす必要があります。この制度は、これまでのネガティブリスト制度とは異なり、使用可能な物質を明確にリストアップすることで、食品に悪影響を与えるリスクを事前に排除する仕組みとなっています。
特に、器具や包装材料は食品と直接接触するため、ポジティブリストに適合していない物質が含まれる場合、消費者の健康被害が生じるリスクがあります。ポジティブリスト適合証明書を取得することにより、事業者はこれらのリスクを未然に防ぐことができ、さらに事業活動の信頼性を高めることが可能となります。
- 消費者の安全を守る仕組み
ポジティブリスト制度は、消費者の安全を守るための重要な仕組みです。この制度が導入される以前のネガティブリスト制度では、禁止されていない物質であれば使用可能という原則が採用されていました。しかし、この方式では管理が不十分であり、安全性が疑わしい物質が食品用の容器や包装に使用されるリスクが残されていました。
ポジティブリスト制度では、使用可能な物質があらかじめ規定されており、その他の物質については原則として使用が禁止されます。このように、制度そのものが消費者への安全性保証を担保する設計となっているため、ポジティブリスト適合証明書の取得は、健康を守るための基本的な課題を解決するための一助となります。
- 事業者が知っておくべき留意点
事業者にとって、ポジティブリスト適合証明書の取得は避けて通れないプロセスであり、食品衛生法とも密接に関係しています。2025年5月31日までは経過措置期間とされていましたが、2025年6月1日を以てポジティブリストに適合しない製品や材料は使用が禁止されました。事業者は規制に対応する準備が求められます。
留意点として、まず自社製品がポジティブリストの基準を満たしているかを確認することが必要です。また、適合確認に際しては、具体的な分析や検査が求められる場合もあり、これを怠るとトラブルや違反のリスクが生じます。さらに、証明書の発行や管理にもコストがかかる点を考慮し、制度への対応計画を適切に進めることが重要です。
ポジティブリスト適合証明書の取得手順
- (1)基本情報収集と準備
ポジティブリスト適合証明書を取得するためには、まず基本情報を収集することが重要です。対象となる食品用器具や容器包装に用いられている物質が、ポジティブリストに掲載されているかどうかを確認します。ポジティブリスト制度は食品衛生法に基づき、従来のネガティブリスト制度を改定したものです。そのため、リストの内容を正確に把握することが第一歩となります。
また、使用する材料のメーカーや供給元に問い合わせることで、材料の成分表や適合性に関する情報を確認することも必要です。2025年6月1日以降は、ポジティブリストに記載されていない物質の使用が禁止されるため、その期限を意識しながら準備を進めることが求められます。
- (2)適合性の確認と必要な分析
次に行うべきステップは、対象製品がポジティブリストに適合しているかどうかを確認することです。リストにある物質が使用されているか、安全性評価が既に行われているかをチェックする必要があります。これには化学的分析やデータを参照する作業が含まれます。
特に、食品と直接接触する器具や包装材の場合、適合性確認のための試験が必要となるケースがあります。例えば、接触試験や溶出試験を実施し、食品安全基準に適合しているかを科学的に裏付けます。これらの分析結果は、ポジティブリスト適合証明書の申請時に必要な資料となるため、適合性確認は非常に重要なプロセスです。
- (3)証明書提出の手続きの流れ
準備と適合性の確認が完了したら、ポジティブリスト適合証明書の提出手続きに進みます。まず、適合証明書を申請する際には、必要な書類を確実に揃えることが重要です。これには、製品の成分情報や分析データ、適合性を証明する資料などが含まれます。
通常、手続きは所定の様式に基づき行われ、提出先は規制機関や場合によっては取引先になることもあります。適合証明書の発行を受けるためには、審査プロセスをクリアする必要がありますので、不備のない準備が欠かせません。食品衛生法の基準を満たしていることを示し、関係機関へのスムーズな申請を心掛けましょう。
- (4)事業者がすべきチェックリスト
ポジティブリスト適合証明書を取得するにあたり、事業者が確認すべき事項を以下のように整理できます。
- □ (a)製品に使用されている全ての材料がポジティブリストに適合しているか。
- □ (b)必要な試験や分析が全て完了しているか。
- □ (c)供給元やメーカーからの情報が正確であるかを確認。
- □ (d)期限までに手続きが完了するよう計画を立てているか。
- □ (e)関連する法規制や施行日(2025年6月1日)を正しく把握しているか。
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